●特別養護老人ホーム「亀岡園」 色彩設計
平成22年、社会福祉法人利生会様より亀岡園新築移転工事の施設色彩設計を委託されました。今回の色彩設計では、最初にコンセプトとして挙げた「やさしさ」と「楽しさ」の視点から、特別養護老人ホームの
「らしさ」と言う見方を土台にし、配色の美、どのようにすれば色の調和が得られるか、ということを大きなポイントとして、 色を正確に表示し、 それぞれの配色相互の関係を示すための組織的な色彩体系を用いた色彩設計を提案し、またそれらの手順を立案して計画を実行いたしました。
造形の美しさは、形と色と材料の美が総合されて生まれるものです。その中でも見た瞬間に目に訴えるものは、そこに使われた色の配分の効果、すなわち配色の美しさです。同じ材料を用い、
同じ形で作られた物でも配色が違うと、あるときは派手になったり、地味になったり、 弱くなったり、暖かくなったり、寒くなったりするなど、さまざまな感情効果を表し、ひいては配色の調和、不調和にともなう快、不快の感じを見る人に与えるものです。実際に一つの色としてきれいな色とか、きたない色というものがあるわけではなく、
常に二つ以上の色が組み合わされ配色されたときに、 感じがよいとか、 悪いという結果になるのです。
近頃、介護施設の配色で気になるのが“可愛い”というイメージの配色です。お年寄りは子どもに還ると言われ、可愛いというイメージがよく使われるようですが、この点はよく留意すべきだと考えます。高齢者の中にある可愛いさとは人生を重ね、様々な経験と体験を通して生まれた品格をベースにした、優しい可愛いさなのです。幼児たちに使われる可愛さでは決してないということ。故に、今回の配色では鮮やかさのある色味はほとんど使用せず、ピンクやオレンジも落ちついた色調のものにしています。
当社では、言葉のイメージをより的確に色彩表現するために、オリジナルカラートーン表を作成し、それをベースにカラーコーディネートしています。今回も各種類のサンプルを、まずカラー分析することから始めましたが、色数に限りがあるため、全体を品格のある空間親しみと安らぎのある空間に仕上げるには、
ベースカラーとアクセントカラーのバランスにかなりの工夫を要しました。
以下、各階の色彩設計をご紹介します。
1階 色彩設計へ 2階・託児所 色彩設計へ |